1.キャリアパスとはどういうものか
「キャリア(career)」という言葉には、①生涯、経歴、履歴、②職業、生涯の仕事、といった意味があり、「パス(path)」という言葉には、①小道、細道、歩道、②進路、方針、といった意味があります。つまり、キャリアパスとは、
「職員が園で働くことで、どのような職業人生を歩むことができ、またそれにより、どのような処遇を得られるかを明示するもの」
といえます。
2.処遇改善で求められるキャリアパスとは
そして、国が処遇改善加算の要件として求めるキャリアパスの内容は以下のものです。
① 職員の職位、職責又は職務内容に応じた勤務条件等の定め
② 職位、職責又は職務内容等に応じた賃金体系の定め
③ 就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備し、すべての職員に周知
④ 職員との意見交換を踏まえた資質向上のための目標・計画の定め
⑤ 資質向上計画に沿った研修機会の提供又は技術指導の実施と職員の能力評価
⑥ 資格取得のための支援の実施
園の中での職員の役割や職務内容、賃金といった人事に関わる項目だけでなく、資質向上のための計画や資格取得といった人材育成に関わる項目も含まれ、幅広い内容となっていることが分かります。
3.まず、何から検討をすればよいか
では、園のキャリアパスを作成するに当たっては何から始めればよいでしょうか。まずは、以下の代表的な要素について園の現状と照らし合わせながら検討していくことをお勧めします。
① 役職体系:理事長、理事園長、園長、主任といった役職を設定
② 役割と職務内容:役職に応じた役割(園の統括、園長補佐、職員育成など)と仕事の内容
③ 能力・資質:主たる役割や職務を果たすために必要な能力や資質
④ 経験年数:それぞれの役割や職務に必要な経験年数の目安
⑤ 資格・研修:役割や職務に応じた、必要となる資格や研修の受講実績
⑥ 賃金体系:役割や職務に応じた給与のあり方 など
キャリアパスは園における人材マネジメントの基本的な考え方となり、人事給与制度や職員研修のあり方にも反映します。
園の目指す方向性を実現するために必要な人材マネジメントについて考えてみる良い機会となります。