キャリアパスなどの、園の人材マネジメントの基本的な考えを職員の処遇にさせるための仕組みが、人事給与制度です。
人事給与制度は以下の3つの柱に分けて検討していくことをお勧めします。
1.給与体系・給与表
職員にどの程度の給料を支払うかを決めることですが、具体的には以下のポイントを押さえて検討を行います。
① 初任給の設定:他の園と比べて劣ることなく、職員が採用できる初任給の水準を検討します。
② 基本給の考え方:年齢ベース、勤続ベース、能力ベースなど、基本給に関する園の考えを整理します。
③ 基本給表:基本給の考えに基づき、職員に毎年適用される基本給額を示す表を作成します。
④ 諸手当の設定:基本給とのバランスを図りながら、役職や役割に対する手当や、扶養手当・住宅手当など生活に関わる手当などを検討します。
給与体系・給与表に関する事項は、職員の金銭的報酬にダイレクトに反映するため、専門家を交えて検討を進めることをお勧めします。
また、近年では、金銭的報酬に加えて非金銭的報酬(特別休暇の付与、表彰制度など)の重要性も増しています。
2.評価制度
職員の昇進や昇給などを決定する仕組みのことですが、以下のようなポイントがあります。
① 評価項目:何を評価するか。一般的には、「情意(じょうい)」(意欲や姿勢)、「能力」(役職や仕事をこなす力)、「成果」(役職者としての責任を果たす、クラス運営で成果を上げる)などの項目を組み合わせて評価をします。
② 評価基準:絶対評価と相対評価、5段階評価など、評価の基準を定めます。
③ 評価者:園長のみでなく主任や副主任もある程度の評価をするか等を検討します。評価者は評価実施前に研修を受けることをお勧めします。
④ 評価結果の反映:評価の結果を昇進、昇給、賞与など、どの処遇に反映させるかを検討します。
⑤ 評価の頻度:年に何回、評価を実施するかを検討します。
⑥ 評価結果のフィードバック:評価結果を職員にフィードバックする面接などの機会について検討します。
評価制度は導入後、軌道に乗るまでに時間がかかることもありますので、できることからじっくりと取り組むことをお勧めします。
3.育成制度
キャリアパスや制度により職員個々の育成上の目標が明らかとなりますので、実現に向けた方法を以下の視点に分けて考えます。
① 新人育成:OJTやプリセプター制(指導役の先輩が一定期間、フォローを実施しながらスキルの習得を目指す)などの新人育成の仕組みを検討します。
② 研修受講:外部の専門研修や内部での必要な研修の実施など。他園見学などで視野を広げることも重要。
③ 資格取得:社会福祉士などの福祉系国家資格のみでなく、食育に役立つ野菜ソムリエなどのユニークな資格取得に補助を出すなど。
④ 育成面接:育成を着実に進めるために、年度当初などに育成面接を実施するケースも多くなっています。
職員研修では、処遇改善等加算Ⅱに対応するキャリアアップ研修への参加についても調整を図っていく必要がでてきています。
また、職場内研修では、職場でのコミュニケーションや働き方を考える研修のニーズも高まっています。是非、ご参考ください。